不動産売却の仕訳方法とは?基本ルールと注意点をわかりやすく解説
「不動産を売却したけど会計処理の方法がわからない」「金額の書き方が不安」といった場合は、まず仕訳の基本ルールから学ぶ必要があります。そこで今回は、仕訳の基本ルールと注意点について解説します。
具体例を用いた仕訳方法も解説しているので、仕訳のイメージができない人も安心してください。確定申告の失敗を防ぎ、会計処理をスムーズに行えるよう、各ポイントを押さえておきましょう。
不動産売却における仕訳とは?基本的なルール
不動産売却における仕訳を行うため、基本的なルールを解説します。軸となる知識がなければ仕訳に失敗する可能性があるので、まずは基本的な部分から理解していきましょう。
不動産売却の会計処理は簿価で計算
不動産売却時の会計処理では、簿価を基準に計算を行います。簿価とは、会計帳簿に記録する不動産売却の資産・負債などの価格です。
たとえば、2,000万円で土地を購入し、数年後に1,500万円へ価値が減少した場合、簿価2,000万円、時価1,500万円として記録します。時価の回復が見込まれなければ、500万円の減損損失(資産価値の切り下げ)として会計処理しなければなりません。
土地は経年劣化しにくい資産ですが、周囲の状況により価値が変動することもあります。一方、建物は減価償却(経年劣化による価値の減少を反映)が適用されるので、毎年一定の価値で簿価を記録できません。
不動産の種類によって帳簿上の扱いは異なるため、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。
法人・個人で勘定科目が異なる
法人・個人、それぞれの勘定科目は以下のように扱います。
【勘定科目について】
利益 | 損失 | |
個人 | 事業主借 | 事業主貸 |
法人 | 固定資産売却益 | 固定資産売却損 |
個人の場合、不動産売却の利益は譲渡所得として扱われるため、損失が出ても他の事業で得た利益で相殺できません。一方、法人の場合は事業所得として計上され、損失が出た場合は他の事業で得た利益と相殺できます。
会計処理上の計算方法が異なるので、仕訳の際は所得の扱い方に注意してください。
帳簿に記載する日付は2種類
不動産売却において、帳簿に記載する日付は以下2種類のどちらかです。
<帳簿の日付>
・売買契約の締結日
・不動産の引渡し日
所得税は1月1日~12月31日までの期間で計算します。たとえば、契約締結が2023年11月、引渡しが2024年3月に行われる場合、記載する日付によって税金の発生時期が異なります。
資金計画や適用される控除などに応じて、記載する日付を調整できることも頭に入れておきましょう。
土地と建物で消費税の扱い方が変わる
土地と建物では、消費税発生の有無が異なります。
【消費税の有無について】
土地 | 建物 | |
居住用の不動産を売却 | × | × |
投資用不動産の売却 | × | ○ |
法人による売却 | × | ○ |
上記のとおり、消費税は建物の売却でしか発生しません。仕訳の際は不動産の種類別に消費税の有無をわけて考えましょう。
不動産売却の仕訳方法2パターン
不動産売却の仕訳方法(土地の売買)を個人・法人の2パターンで解説します。前述した基本ルールのおさらいも兼ねて、具体的な仕訳方法を見ていきましょう。
個人の仕訳例
土地売却における個人の仕訳例は次のとおりです。
<売却の条件>
・簿価:1,500万円
・時価:2,000万円
【仕訳の例】
借方 | 貸方 | ||
預金 | 2,000万円 | 土地 | 1,500万円 |
事業主借 | 500万円 |
個人が事業用の不動産を売却した場合、帳簿は事業主借・事業主貸を使って記録します。ただし、事業用以外の不動産(相続した土地など)は、記録を付ける必要はありません。
法人の仕訳例
土地売却における法人の仕訳例は次のとおりです。
<売却の条件>
・簿価:2,000万円
・時価:2,500万円
・手付金:300万円
・仲介手数料:80万円
【仕訳の例】
借方 | 貸方 | ||
現金 | 2,120万円 | 土地 | 2,000万円 |
前受金 | 300万円 | 固定資産売却益 | 500万円 |
支払手数料 | 80万円 |
手付金や仲介手数料は借方として記載し、貸方には簿価2000万円に対し得られた利益を記載して処理します。売却により損失が出た場合は、売却損を借方へ記載しましょう。
不動産売却における仕訳の注意点
不動産売却において、仕訳の際は以下の点に注意してください。
<仕訳の注意点>
・領収書は保管して確定申告に備える
・個人の売却では譲渡所得税の税率に注意
確定申告の際、領収書は経費を計上するための重要な情報源です。再発行できない領収書もあるので、必ずすべて保管しておきましょう。
また、個人の売却では譲渡所得税が発生します。譲渡所得税の税率は不動産の所有期間に応じて決められるため、売却時期を見計らう際は参考にしてみてください。
【譲渡所得税の税率】
所有期間が5年未満 | 所有期間が5年以上 | |
税率 | 39.63% | 15.315% |
※住民税・復興特別所得税も加味した税率
上記の所有期間も目安に、売却すべきか判断しましょう。
まとめ
不動産売却の仕訳は専門用語が多く、複雑な点も多いです。そのため、基本的なルールや仕訳方法を理解した上で、専門家へ相談することも検討しましょう。
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