不動産相続の流れと方法|費用や必要書類もまとめて解説
不動産を相続することになるケースがあるかもしれませんが、頻繁に起こりうることではありません。そのため、どのような流れになるのかわからず不安と考える人も多いでしょう。また、不動産含め相続には税金や費用が掛かる、相続トラブルなどが起きる可能性があるなど流れ以外にも不安に思うことも多々あると思います。
そこで今回の記事では、不動産相続における流れや不動産相続の方法、そしてかかりうる費用まで詳しく解説していきます。不動産相続について不安なことがある人は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。
早速、不動産相続をする流れについて解説します。不動産相続完了までは、大きく6つのステップに沿って進めていくことになるでしょう。
① 遺言書の確認を行う
② 不動産を相続する人を決める
③ 相続がどれだけあるのかを把握する
④ 遺産分割協議を行う
⑤ 相続登記を申請する
⑥ 相続税の申告と納税を行う
上記6つのステップに沿って、どんなことをすべきなのか、何が重要なのかなどより詳しく見ていきましょう。
①遺言書の確認を行う
不動産相続においてまずすべきことは、不動産所有者が亡くなる前に残した遺言書の確認です。不動産においても、どんな相続でも、遺言書があれば遺言書の内容通りに手続きが進みます。そのため、不動産相続においてなによりもまず先に遺言書の確認が必要なのです。
遺言書が無い場合は、「④遺産分割協議を行う」に進み相続人全員で遺産分割協議を行わなければなりません。もし、遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合は、遺産分割協議で決まった事項があろうとも遺言書に記されている内容が優先になります。
遺言書があった場合でも、無い場合でも、まずは不動産を相続する人を決めなければなりません。遺言書に相続人が記されている場合は、それに従って相続人を決めていきます。遺言書が無い場合は、相続人全員を集めての話し合いが必要です。
誰が相続人に該当するのかは、亡くなった不動産所有者の生涯の戸籍謄本を取り寄せ調べる必要があります。相続人が誰なのか、自分たちの判断だけで決めてはいけません。遺産分割協議後に新たな相続人が見つかった場合、協議のやり直しが必要です。
③相続がどれだけあるのかを把握する
相続人の決定と共に、相続すべき不動産などがどの程度あるのか、「財産目録」を作成しなければなりません。財産目録とは、相続財産の内容が一目でわかる目録のことです。作成義務はありませんが、相続をスムーズにするため、そして遺産分割調停の申し立てをする際には家庭裁判所への提出が必須になることから「②不動産を相続する人を決める」と並行して行うことをおすすめしています。
相続するものの中に不動産が含まれているかいないかは、各市区町村から届く固定資産税納税通知書と、役所で「名寄帳の写し」を取得すれば確認が可能です。
④遺産分割協議を行う
遺言書がない場合は、遺産分割協議を行う必要があります。遺言書がないと分かったら、相続人と相続財産をハッキリさせてから遺産分割協議にすすむと良いでしょう。
遺産分割協議で決定した事項は、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には協議で決定した事項を漏れなく記載し、相続人全員の署名・実印の押印をして完成です。
⑤相続登記を申請する
不動産相続人が決まったら、不動産の相続登記が必要です。相続登記とは、亡くなった以前の不動産所有者から、あらたに相続が決まった人へ名義変更を行う作業を指します。相続登記は、不動産がある地域を管轄する法務局に申請してください。
相続登記については、令和6年4月1日より義務化されました。相続登記をせず放置しておくと、罰則を科せられる可能性があるので必ず行ってください。
⑥相続税の申告と納税を行う
相続した不動産の名義変更を終え、無事に不動産相続が完了したら相続税の申告・納税を行いましょう。不動産はもちろん、相続した遺産の総額が基礎控除額(3,000万円+(600万円×法定相続人の数))を超える場合は相続税が課されます。
相続税の申告・納付は、「相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内」に行わなければなりません。10ヵ月の猶予があると思う人がいるかもしれませんが、相続に関することなどを行っていると時間があっという間に過ぎていきます。やることが多すぎて、うっかり忘れてしまったというケースも少なくありません。
相続税の申告・納付期限を過ぎると延滞税を課されることもあるので、なるべく早めに済ませておくことをおすすめします。
不動産を相続する際、どんな相続方法であっても不動産の評価額(価値)を知っておかなければなりません。
【不動産評価方法】
評価方法詳細 | |
土地の評価決定方法 | 基本的には土地が面する道路ごとに設定された土地価格をもとに評価額を算出する「路線価方式」が採用される。路線価が無い場合は固定資産税評価額を基準に土地ごとに決まった倍率をかけた「倍率方式」で算出する。 |
家屋の評価決定方法 | 家屋の場合は固定資産税評価額が不動産評価額となる。 |
家屋の場合は固定資産税額がそのまま不動産評価額になるので、確認することも容易です。固定資産税額は毎年送られてくる納税通知書に記載されているのでチェックしてみましょう。手元にない場合も、役場で確認ができます。
土地の場合は、路線価値方式か倍率方式かどちらかの計算方法により算出しなければなりません。路線価値があるかどうかや、路線価値額は国税庁ホームページ内にある「路線価図・評価倍率表」から確認することができます。
つづいては、不動産相続をする4つの方法、複数人で分ける際にどのように考えていけばいいのかを解説していきます。
① 現物分割
② 代償分割
③ 換価分割
④ 共有名義
それぞれ分かりやすいよう、より詳しく見ていきましょう。
①現物分割
現物分割とは、その名の通り不動産など相続財産を現物のまま相続する方法です。現物のままとは、相続する不動産を1人がそのまままるまる相続する、2つある不動産を2人がそれぞれ1つずつ相続する、などというケースが現物分割にあたります。
現物分割は、不動産そのまま相続する方法なので手続きが一番容易です。しかし、価値(評価額)の異なる不動産をそれぞれ違う人が現物相続するという場合は、価値が低い不動産を相続した人に不満が出る可能性もあります。現物分割が一番容易だからと安易に決めず、不満が残らないようしっかり話し合いをしましょう。
②代償分割
代償分割とは、不動産を相続した人がほかの相続人に対して代償を支払うことで、不動産相続を行う方法です。例えば、不動産を相続する権利のある人が2人いるとします。しかし不動産は1つしかありません。その場合、不動産の価値が6,000万円であれば、一人が不動産を相続する代わりに、不動産価値の半分である3,000万円をもう1人に支払うことで平等に相続を行うのです。
今回は平等を例にして代償分割がどのようなものなのか説明をしましたが、相続人同士が話し合い合意すれば、代償金額は平等でなくてもかまいません。
③換価分割
換価分割とは、不動産を現金化してから相続人で分割して相続する方法です。不動産を相続することを望んでいない場合に多く採用されます。
例えば相続人3人、6,000万円の不動産が相続物としてある場合。まずは不動産を現金化し、6,000万円を3人平等の2,000万円ずつに分けて相続するのです。こちらも、代償分割同様に話し合いで同意が得られれば必ずしも平等に分割する必要はありません。
④共有名義
共有名義で不動産を相続する方法とは、その名の通り不動産を複数の相続人名義にして共有して相続する方法です。それぞれの相続人が所有する割合を「持分割合」として決めて登記を行います。
共有名義の場合は、不動をリフォームしたい、売却したいというときには名義人全員の同意が必要になります。さらに、共有名義になっている人が亡くなった時はその子どもに名義がうつることが多く、トラブルとなりやすい案件がいくつかあるので注意が必要です。
不動産相続を行った場合、相続登記が必要です。どのように不動産を相続したかによって、相続登記に必要な書類が異なります。下記の表を参考に、必要書類の間違いがないよう準備をしましょう。
【必要書類一覧】
必要書類 | 取得場所 | 注意点 | |
共通して必要な書類 | 戸籍謄本 | 本籍地の役場 | 【被相続人】 ・被相続人について脂肪の記載があること 【相続人】 ・被相続人の死亡後にはっこうされたものであること |
住民票 | 本籍地の役場 | 【被相続人】 ・死亡したことにより除かれた住民票であること 【相続人】 ・不動産の取得者が相続人ではなく遺贈でも必要 |
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固定資産評価証明書 | 不動産所在地の役場もしくは税事務所 | ・登記申請時の年度の証明書であること | |
登記申請書 | 申請人が作成 | 法務局ホームページよりひな形をダウンロードして記入 (その他ひな形でも可能) |
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遺言による相続登記に必要な書類 | 遺言書 | - | 遺言書が自筆の場合は家庭裁判所の検認が必須 |
遺産分割協議による相続登記で必要な書類 | 遺産分割協議書 | 相続人が作成 | ・相続人全員の記名・実印の捺印が必須 |
印鑑証明書 | 居住地の役場 | ・相続人全員分の印鑑証明書が必要 ・発行期限の制限はない |
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遺産分割協議と法廷相続分による相続登記で必要な書類 | 相続関係説明図 | 申請人が作成 | ・被相続人と相続人の関係を表しているもの |
どのケースの相続登記であっても必要な書類というのが大半ですが、遺産分割協議や法定相続分による相続登記では追加書類も必要になるので忘れないようにしてください。
最後は、不動産相続にかかる費用をまとめて解説します。相続においてかかる費用は、相続登記を行うためにかかる費用です。
費用種別 | 内容 | 金額 |
登録免許税 | 相続登記に必要な税金 | 固定資産税評価額(下3桁は切り捨て)×税率の0.4% ※算出した金額の下2桁は切り捨て |
必要書類の取得費 | 相続登記に必要な書類の取得費用 | 約200円~750円/1通 |
司法書士への報酬 | 相続登記を代わりに行ってくれた司法書士への報酬 | 約5万円~15万円 |
登録免許税、必要書類の取得については必ず発生する費用です。相続登記は司法書士に依頼せず、自分で行うこともできます。しかし、専門的な知識が必要なため慣れていない人では時間も労力もかかります。頑張って作成した書類に不備があったというトラブルもあるので、司法書士に依頼するケースが多いでしょう。
まとめ
今回の記事では、不動産相続における流れや不動産相続の方法、そしてかかりうる費用まで詳しく解説してきました。不動産を含むすべての相続は、遺言書に記載されている内容が最優先です。しかし、遺言書がない場合は遺産分割協議書が必要です。相続人に該当するすべての人を集め、全員の同意が得て、相続後にトラブルが起きないようにしていきましょう。
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