成年後見人が不動産を売却するには?売却の流れや注意点を解説
「認知症になった親の不動産を処分したい」「将来的な財産管理が不安」といった場合は、成年後見制度を利用しましょう。不動産所有者本人の意思判断能力に不安を感じたとしても、成年後見制度であれば安全に不動産を売却できます。
今回は成年後見制度について、制度の基本と売却の流れを解説します。売却の流れをイメージできれば、手続きに戸惑うことなく進められます。手続き上のトラブルも防ぎやすくなるため、希望通りに売却したい人はぜひ参考にしてみてください。
成年後見制度とは?
成年後見制度とは、知的障害や認知症などが原因で法的手続きなどが困難な人をサポートする制度です。本人の意思を尊重しつつ、後見人が意思決定支援を行います。
成年後見制度には2種類あり、状況に応じて利用する制度を使い分けましょう。
<成年後見制度の種類>
・法定後見制度:家庭裁判所により後見人が選ばれる(本人の意思判断能力に不安がある状態)
・任意後見制度:本人の申し立てにより後見人を指定できる(元気なうちに後見人を選ぶ)
不動産所有者本人にとって不利益な取引とならないためにも、成年後見制度の利用を検討しましょう。
成年後見制度を利用して不動産を売却する方法
成年後見制度を利用して不動産を売却するには、次項で解説する2パターンの方法があります。家庭時の状況に合わせて、どちらの方法を選ぶべきか判断しましょう。
居住用不動産の売却
居住用不動産は家庭裁判所の許可が必用です。以下の手順に沿って手続きを行いましょう。
<居住用不動産を売却する流れ>
1.不動産の査定を行う
2.不動産会社と契約を結ぶ
3.買主が見つかり次第、売買契約を結ぶ
4.家庭裁判所に申し立てを行う
5.許可が得られれば、不動産の決済と引き渡しを行う
おおまかな流れは通常の不動産売却と同じです。しかし、決済の前に家庭裁判所へ申し立てを行い許可が得られなければ、契約は無効となるので注意してください。
家庭裁判所の判断基準は次のとおりです。
<家庭裁判所の判断基準>
・売却は必要か
・本人の意思を尊重しているか
・売却条件は適切か
・売却代金の保管先は適切か(本人のために使われるか?)
・不動産売却に親族が反対していないか
事前に上記5項目を調査して、正当な売買かどうか確認しましょう。
居住用不動産を売却する際の申請書類
家庭裁判所へ許可を得る際は、以下の書類を提出する必要があります。
<必要書類について>
・居住用不動産処分許可の申請書
・不動産登記簿
・売買契約書(案)
・評価証明書
・不動産会社から受け取った査定書
・成年後見監督人の意見書
売買契約書(案)とは、家庭裁判所から許可が得られない場合を考慮して作成される契約書の原案です。契約書には特約として、「許可が下りない場合は契約無効」の旨が記載されます。
条件付きの契約なので、まずは契約書の案を作成し、他の書類とともに家庭裁判所へ提出しましょう。
非居住用不動産の売却
非居住用不動産の場合、家庭裁判所の許可は必要ありません。通常の不動産売却と同じ流れで売却できます。
ただし、非居住用不動産であっても、自由に売却できるというわけではありません。売却の必要性や相当性などが問われるほか、後見監督人(後見人を監督する役割)がいる場合は同意を得る必要があります。
<非居住用不動産を売買できる正当な理由の例>
・本人が安定した生活を送るための生活費として
・本人の医療費を捻出するため
非居住用不動産であっても、家庭裁判所へ相談して問題ないかどうか確認しておくと安心です。
非住宅用不動産に該当するか確認
個人の判断で非住宅用不動産かどうかは決められないので、不安な場合は家庭裁判所へ相談しましょう。非住宅用不動産とは、読んで字のごとく居住用として利用していない不動産です。
たとえば、本人の生活拠点が別にあり、現在誰も住んでいない・将来的に利用しない不動産は非居住用不動産に該当します。一方、本人が入院していて誰も住んでいない不動産は、本人の生活拠点となるため居住用不動産に該当します。
実態を見て判断されるので、売却後のトラブルを防ぐためにも家庭裁判所へ相談しておきましょう。
まとめ
成年後見制度は、不動産所有者の本人に代わって売却手続きを進められる制度です。「不動産を安いい価格で買い叩かれる」「悪徳な業者と契約してしまう」といったリスクを防げます。
ただし、後見人に独断的な裁量はないので注意しましょう。あくまでも本人の意思を尊重した上で、手続きを進めなければなりません。
後見人として不動産を売却すべきか判断に困っている場合は、「株式会社シンシアリーホームズ」へご相談ください。弊社は中央区を中心に、江東区・墨田区・台東区などで数多くの売却相談に対応してきました。
お客様のご要望にお応えできる提案をさせていただきますので、不動産売却でお困りの際はぜひご相談ください。